フィリピンが提訴していた南シナ海の領有権に関する中国の主張を全面的に否定した仲裁裁判所の判決が出ました。
中国が主張する九段線に基づく管轄権のの主張の根拠を否定するとともに、この海域に存在する島礁はいずれも岩であり、それに基づく領海や接続水域の主張も退けました。
この判決は、フィリピン、中国の双方を拘束する強制力のあるものです。
この条約(1982)の加盟国は162カ国、南シナ海に関連した国々では加盟順に、{()内は加盟年)}
フィリピン(1984)、インドネシア(1986)、スリランカ(1994)、シンガポール(1994)、インド(1995)、韓国(1996)、ミャンマー(1996)、中国(1996)、日本(1996)、ブルネイ(1996)、ラオス(1998)、バングラディッシュ(2001)、タイ(2011)
以上13カ国です。
この判決に関して、フィリピンなどのアジア諸国の反応がありますが、上のリストと照らし合わせて考えて下さい。
まず目立ったのは、台湾のネガティブな反応でしたが、台湾は条約に加盟していません。
同じく親中国カンボジアも加盟なしです。マレーシアも同じです。
面白いのは、アメリカは条約締結していますが、批准は未だです。オバマは議会に働きかけているようですが。
この仲裁裁判所は、国連とは無関係ですから、中国は常任理事国として国連で騒ぐことも出来ません。
この条約から脱退することも選択肢でしょうが、総合的に考えると、ここまで落ちた中国のイメージを更に下げることになり、難しいのではないかと思いますが、独裁国家ですから分かりません。
独裁国家は。ここまで来ると、冷静な判断が出来なくなります。
経済の減速が深刻な上に、外交的には孤立化を深めているこの時期にこの判決のダメージは大きいだろうと想像します。
何しろ、国際法違反状態になってしまったのですから。
中国は、白書を造って国民に配布し、中国の主張を国内に知らしめているようですが、人民解放軍が、勢い余って暴発するのが心配です。
中国の振る舞いによっては、中国が更に追い詰められてしまうこともあり、我が国も緊張してみていかなければなりません。
冒頭のむくげの花は韓国の国花だそうですが、韓国にとっても悩ましいことのようです。
THAADで中国を追い詰める役割を果たした上に、南シナ海航路の受益者として、米国からしっかりしたコメントを求められていますが、何とかして穏便に済ませたいという想いがありありです。