(イージス艦)
自衛権は、憲法より上位にある、人間で言えば自然権に当たる国家の普遍的権利です。
憲法に書いてあるない以前に国家に認められた権利だと思います。学者は、その根拠を国連憲章に求めていますが、国連憲章は、当たり前のことをはっきりと書いたにすぎません。
動物の世界でも、集団で縄張りを作り、全員でそれを守ったりしていますが、言わば、その集団の生活基盤を守る行為です。
人類も、その誕生の頃から、そのようにしてきたのだと思います。
憲法という、キリスト教社会が考え出したconstitutionは、基本的な統治制度を意味する言葉で、ドイツでは基本法と呼ばれています。
大日本帝国憲法の制定によって、日本では、憲法と呼ばれるようになりました。恐らく聖徳太子の17条憲法から採ったのでしょう。
大学で、当時の学会の最高権威といわれた先生の退官前の最終講義を聴きましたが、退屈でした。
日本の法律体系にない文章ですから、読むのも苦労、意味不明瞭で、先生が、しばしば元の英文ではこうだったから云々という解釈をしていたことだけを覚えています。
ということで、56年ぶりに憲法をじっくりと読んでみました。
先ず、前文を読んで、後段の
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意したが、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。(以下略)
戦争の反省、平和を希求する戦後の国民の気持ちには合っていました。
しかし、21世の現在、北東アジアには「人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に」に値する国家があるのでしょうか。
「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる」国家があるのでしょうか?
中国と北朝鮮は、独裁国家で、国民は貧困と圧政に喘いでいます。明らかにこれに合致しない国家です。しかも、核兵器保有国です。
その上、我が国と、正常な外交が保てない関係になっています。
統治が混乱している激情国家である韓国も、我が国に対する偏見は異常なレベルで、どのような行動に出るか予測できません。
明らかに、憲法前文が想定していた国際環境はありません。
私には、人類史上、これが常態だったように思います。
第9条は、
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
と定めていますが、第1項は、文字通り素直に読めば良いこと、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄しています。
我が国から、戦争を仕掛けることはないし、こちらからの武力による威嚇や行使は放棄すると言っています。平和を希求する国家日本として、しっかり宣言しています。
さすがに、自衛隊を違憲だという人は少なくなりましたし、今日、閣議決定される集団的自衛権の議論も、精強な自衛隊の存在を前提とした話です。
まあ、いくら憲法で決めても、相手があることですから、備えはしっかりしておくのが政府の責任です。
その意味で、歴代の政権は、何を考えていたのでしょうか。
国の守りを疎かにしていた誹りは免れません。
最後に、これで戦争が始まる、若者が戦争に狩り出される、という意味不明な非難を煽っている複数の有力メディアがあります。これは、周辺国の意見に合わせたプロパガンダだと思います。
我が国のジャーナリズムも情けないですね。
備えあれば、敵の侵略への抑止力となります。
日本は、徴兵制ではありません。自衛隊に志願しないかぎり、戦場に送り出されることはありません。根拠のないプロパガンダには怒りを感じます。
憲法学者、法曹界も情けないと思います。
国家、国民の安全をしっかり担保する議論をしないで、憲法解釈に明け暮れ、現憲法によってしか平和を維持できないような議論が多いと思います。
平和憲法だから、日本が平和であったのではなく、日米同盟によって平和が維持されてきた現実を見ようとしないのには、呆れるばかりです。
憲法とは別に、常に平和をを維持する努力が必要です。
公明党が、「平和の党」から、「平和を維持する党」に脱皮したのは大きな進歩だと思います。
最後に、無駄な議論をなくすためにも、憲法改正はぜひやり遂げなければなりません。