野田首相は、消費税増税に命をかけると公言していますが、本当に命をかけるのでしょうか。政治生命をかけるというのが普通の表現ですが、それより厳しい言い方をしていますから、それが実行されるのか、この目で見てみたいと思っています。
私は、今の政治の下では、
消費税を増税しようがしまいが、日本は大変なことになると考えています。だからこそ消費税の食い逃げを許してはならないと考えています。
消費増税をするのであれば、その前にやるべきことをやる必要があるとのことで、野党から厳しい注文が付けられています。
最も大事なことは、名目成長率が伸びていない経済下で、消費増税すれば、間違いなく消費を抑制することになります。企業も私たちも、名目経済の中で活動し、生活しています。
日本の名目GDPは、1997年に、約530兆円になりましたが、それが最高で、2009年以降は、460兆円台から480兆円の間で推移しています。50兆円以上も減少しています。
企業活動も、国民生活も、名目経済の中で行われています。明らかに、経済の閉塞感が募っています。
この段階で、消費増税に動けば、経済は一層悪化し、法人税や所得税などの所得に比例した税収が減少することは明らかです。消費増税しても、税収全体が増えるかどうかは定かではありません。
普通は、消費増税のような経済に負に働く政策を採る時には、経済に正の方向に働く政策を平行して取り上げるものです。
原発問題は、つまり電力の明らかな不足は、そのこと自体は節電で防げる可能性はありますが、日本経済、国民生活にとって大きな足かせになっています。明らかに、これも経済の負の要因です。
政府は、原発のリスク、続けるにしても、脱原発にしても、原発を廃止するにしても、そのリスクの大きさを国民に分かりやすく提示し、どの政策を採るにしても、リスクが大きいことを説明し、国民が合理的な選択が出来るように導く必要があります。それが、政治です。
そして、あるべき電力ポートフォリオ(コストと時系列の概念を入れて)を提示することが必要です。
原発を一切動かさない状態であれば、国内の産業、国民生活は重大な影響を受けることは明白です。必要な電力消費を押さえ、当然のように感じている政府やマスメディアなどを含む電力関係者の感覚は尋常ではありません。
このような状況下では、消費増税どころの話しではありません。
国民の原発に対するヒステリー状態を放置して、自然エネルギー中心の夢のような解決が出来るように国民が錯覚すれば、日本経済は崩壊してしまいます。遠い将来、それが可能になるとしても、現下の電力供給をどうするかが、国民の生活を守る政府の緊急の課題です。
要するに、政府が取り組まなければならない現下の最重要政策は、日本のエネルギー政策の再構築なのです。
もう一つ、民主党政権下での経済の生産性を下げるような政策ばかりの中で、TPP参加は生産性アップの要因です。これを急がなければなりません。
これは、必ず経済にプラスに働きます。
物価は、ますます下がるでしょうが、経済は活性化されること間違いありません。
これについては、後日、まとめたいと思っています。
野田内閣は、消費増税を政局の材料にしないで、国民生活を睨んだ政治をして欲しいと思います。
何だか小澤一郎みたいになってしまいましたが(笑)、彼や橋下などのポピュリストとは違って、私の本意は、たとえ痛みを伴っても、国家、国民の利益になる政治を要求しているものです。