(wikipediaより)
16日月曜日のことですが、複数の友人から話題に出たので、新宿まで出かけて
映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」を見てきました。
あまり映画を見ない私ですが、印象に残る映画でした。
私たちは、サッチャー(1925年〜)政権下のロンドンに駐在していました。BBC放送で、何度ともなくサッチャー首相のスピーチを観たり聴いたりしたので、この主人公には親しみを感じていました。
リタイアーし、認知度が落ちた老いの身で、過去の政治家としての栄光と孤独な戦いの幻想を交えながら、家族を思う気持ちを表した映画でした。
主演女優のメリル・ストリープが、米国人でありながら、サッチャー役をしっかりとこなしているのには驚きました。姿形が良く似ていることはもちろんのこと、声がそっくりで、ピッチも同じようでした。(欲を言えば、サッチャーさんは、もう少し鼻にかかった響きでした。)
いつの間にか、メリル・ストリープがサッチャーに見えてしまいます。
英国は、第2次大戦で徹底的に疲弊し、戦後続いた硬直化した政治の結果、沈滞感の強い社会でした。英国病と揶揄されるような状況でした。
1979年、英国憲政史上初の女性の首相としてマーガレット・サッチャーが登場ました。
サッチャーは、多くの反対を押し切って、各分野の徹底的な効率化を進めて、英国の競争力を回復させました。
1982年には、戦争する余裕なぞないと思われていた中で、甚大な被害を受けながらも、アルゼンチンとのフォークランド紛争に勝利し、国民から喝采を浴びました。
ゴルバチョフをして、「鉄の女」と言わせた強い信念と意志と実行力を伴った政治家でした。
この時代、英国のサッチャーと並んで、米国はレーガン、西ドイツはコール、フランスはミッテランなど欧米は、大政治家の安定した政権が続いていました。
1990年、サッチャーは、EUには積極的ではなかったことや、地方税としての人頭税community chargeの導入の反対が強くなり人気が下降します。そして、保守党党首の座を明け渡して退任しました。
上流階級の出身ではないこと、男社会の政治の場で女であったこと、政治そのもので強烈な変革を実行したこと、そのような女の家族間の愛を描いたドラマでした。
やはり彼女は凄いと思いました。
ところで、二つほど感じたことがあります。
一つは、この映画の英語が良く聴けました。
ブリティッシュ・イングリッシュは、私たち英国経験者には有り難いです。
しかも、テーマが愛であり、政治であり、経済であったから、頭にある言葉で会話が構成されています。
もう一つは、サッチャーさんは、現在認知症を病んでいるそうですが、その発症が75歳位からのようです。
あれほど強かった人が、その歳でと思うと、そこに近づいてきている私にはショックなことです。