欧州に行ったことがなかった頃は、どうしてドイツとイタリアが第二次世界大戦で共に枢軸国として連合国と戦ったのか、ピンときませんでした。
欧州に行ってみて、ドイツ→オーストリア→イタリアと素直に繋がっていることが分かりました。オーストリアを中心にして考えれば、ワンセットで考えられます。
昔の日本で云えば、上方(イタリア)、江戸(オーストリア)、東日本(ドイツ)みたいな関係だったのではないでしょうか。
文学の世界でも、音楽の世界でも、ドイツ人はイタリアに憧れていたようです。
ドイツも、イタリアも、日本も第二次世界大戦直前には、後発の帝国主義国として、国際政治の中で似たような状況下に置かれました。そして、日独伊三国軍事同盟によって、連合国側と戦うことになりました。
先ずイタリア、次いでドイツ、最後に日本の順番で連合国側に降伏し、世界大戦は終結を迎えました。
戦前、一時期、日本はドイツに範を求めていました。その影響もあって、戦後になっても日本はドイツを高く評価していました。
小学校時代には、ドイツ人の賢さ、合理性などを説く先生がいました。
中学や高校では、校長が、式典の都度、訓辞の中で西ドイツの復興振りを採り上げていました。
昭和32年に大学に入りましたが、大学の先生も、ドイツの学説を説いている人が多かったと記憶しています。横文字(ドイツ語)を縦(日本語)にするだけで大学教授は務まる、なんて陰口が言われる程学問の世界でもドイツが幅をきかせていました。
一方、イタリアやイタリア人の評価は低かったように思います。ただし、映画だけは高く評価されていました。
戦後、日本人とドイツ人が酒を飲んで、
「この前はイタリアを入れて失敗したが、次は日本とドイツだけでやろう。」
と言って盛り上がった、という話を先輩方からよく聞かされました。
しかし、昨今は、日本に於けるイタリアの人気は大変なものです。絵画、音楽、デザイン、ファッションなど多方面に亘ってイタリアやイタリア人の株が上がっています。
イタリア人側も、日本や日本人の評価を上げているようです。
大分前のことになりますが、あるイタリア人に、
「この前はドイツと三国で戦ったが、この次はイタリアと日本だけでやろう。」
と言ってみました。
彼は、
「ドイツ人は頭が固いからやりにくい。日本人とイタリア人だけなら上手く行く。」
と言って、大いに喜んでいました。
今後、組んで戦争するようなことはなさそうですが、ドイツを選ぶか、イタリアを選ぶか、難しい選択です。どちらも厳しいパートナーのように思います。