井の頭池の鯉は、禁止されているにもかかわらず、餌を与える人が多いので大きく育っています。中には体長1mに近い鯉も見られます。餌を求めて大きな口を開けると、女性の小さい手などが入ってしまうのではないかとさえ思います。子供などは、あの口にくわえられたら、池に引きずり込まれてしまいかねません。
ギリシャ危機などに伴って、日本の国債(以下JGB)発行額が異常に多く、日本政府の借入額はGDP比でギリシャの比でないことが国際的に注目されました。日本は国内に多大な資本を蓄えているために、それだけ多額な資金を政府が借り入れることが出来ました。
そして、JGBの95%以上が日本国内の投資家によって保有されており、ギリシャなど欧州諸国のように外国からの借り入れではないので、同じように議論することは出来ない、とする解説がなされていました。
これは、一見もっともな説明に思われがちですが、全く間違った説明です。
JGBは、主に国内の銀行(日銀を含む)、保険会社、年金、投信などのファンド、郵貯、簡保など機関投資家によって保有されています。それらの合計が95%以上であることは事実です。
しかし、JGBの流通市場には、現物市場の他に、先物市場、オプション市場などがあり、海外の市場でも取引できる仕組みになっています。このうち、現物市場は、日本の投資家が主な参加者ですが、先物市場は、40%が外国の投資家です。オプションに至っては、60%程度が外国人投資家です。
現物市場、先物市場、オプション市場は相互に睨み合いながら大体同じ方向に動いていますが、先物、オプションが相場を牽引することがしばしばあります。
今は、JGB市場が落ち着いていますが、JGBに大きな動きが見込まれると、外国人投資家、投機家は、先ず先物、オプション市場に参入してきます。
先物市場の外国人参加者割合40%が、50〜60%或いはそれ以上になることは簡単なことです。オプション市場の参加者が70〜80%に膨れあがることは大いにあり得ることなのです。
国際投機資本が、JGBの売りが儲かると思えば、先物市場やオプション市場でどっと売り浴びせてくるでしょう。当然、現物市場の国債価格が値下がりします。国内投資家は、JGBの値下がり損を回避するために、現物債を処分売りするか、先物、オプションで売りヘッジをすることになります。
JGBを持っている投資家がこの様な動きをすれば、JGB価格は暴落し、流通市場はパニックに陥ります。
これは、国際金融市場にとって、ギリシャ危機どころの騒ぎではありません。国際金融市場がパニックに陥ることも考えられます。
日本政府が、ギリシャのように借換ができないということにはならないとしても、流通市場で価格が下落(金利上昇)すれば、借換、もしくは増発のための新発債の発行条件は流通市場の条件に合わせなくてはならなくなります。発行コストが増大する上に発行量も自由にはならなくなるでしょう。
歳入不足を国債増発で埋め合わせる現行の予算編成はたちまち行き詰まります。
つまり、日本国内の借金だから安心だ、という考えは、全くの迷信なのです。
前回エントリーで指摘したように、IMFの年次審査報告で、日本の消費税引き上げによる財政収支の改善をプロセス付きで勧告されましたが、来年度予算で、財政健全化に進むための、何らかの大きな方針転換を市場にアッピールする事が求められています。
時間はありません。
菅首相、仙石官房長官、野田財務大臣、財務省などは大丈夫でしょうか。
財務省には、どのような危機管理プログラムが出来ているのでしょうか。