昨日は、ワグナー楽劇「ジークフリート」を堪能しました。
14時開宴で、途中、50分と45分の二度の休憩を挟み、終演は20時でした。
休憩時間中は、軽食を摂ったり、ワインを楽しみますが、6時間もの間ワグナーの世界に浸っていました。
今回は5回の公演が行われ、昨日がその楽日でした。恐らく、最高のパフォーマンスだったのではないかと思います。歌も、演技も、オーケストラも一体となって聴衆を魅了しました。
新国立劇場は、数年前に一度採り上げた4部作からなる『ニーベルングの指環』を、昨年から再び採り上げています。
「ジークフリート」は、昨年の「ラインの黄金」、「ワレキューレ」に続いて、第三部になります。最後は「神々の黄昏」で、3月に予定されています。次が楽しみです。
今回は、恐らく今後余り機会がないかも知れないので、『ニーベルングの指環』全部見ることにしました。
この4部作は、最後の方から26年かけて作曲して行ったのだそうです。全体で15時間、本場では4夜連続で公演されたりするようです。
物語は、神々の世界、地上界、地下界の3界に跨って、それが3世代に亘るもので、スケールが大きく、この民族の欲望(権力、財力)へのの強靱な執着を感じさせられました。何故か、ヒトラーを連想させられます。調べてみたら、ヒトラーはワグネリアンだったそうです。そしてワグナーは、反ユダヤ主義者だと云われているようです。
昨今は、日本語の字幕付きになりましたので、オペラも楽しく観られます。ワグナーの楽劇は、字幕がなければ全く楽しめません。ワグナー好きの人たちは、字幕のない時代にはどのようにして楽しんでいたのでしょうか。
サンパウロで生活している頃、オペラ好きのオーストラリア領事と親しくなりました。パーティーの途中で、これから「カルメン」を観に行くのでと言って中座した時の羨ましそうな目が忘れられませんでした。その後、ワグナーの「トリスタンとイゾルデ」の公演があったので、チケット4枚を手に入れ、領事夫妻を招待しました。サンパウロでも、オペラのチケットは簡単には取れません。領事は、大変喜んでやってきました。
少しは事前に下調べをして行くのですが、その日に限って予備知識なしで出かけました。
このオペラも、正味4時間、一時間半の休憩を挟みます。20時開演で、終演は午前1時30分でした。はじまって、これは拙い、と思いました。動きが少ない男女の物語です。ドイツ語では分かりません。音楽は重々しく、アリアのような部分はありません。全く楽しめないことが分かりました。
隣の領事さんは、最初は興奮気味でしたが、少しドラマが進行すると、ついて行けなくなっているのが分かりました。私と同じようにもじもじし始めました。おしりが痛くなって、速く幕が終わらないかと思いました。
そんな苦い思い出があるので、ワグナーは敬遠してきました。
今回は、字幕で、言葉が大雑把には分かるようになったのでその気になりました。
ワグナーは観るにも、CDなどで聴くにも体力が要ります。機会があったら、早いうちに観ておこうと思うようになりました。