ブラジル滞在中に興味を持ったことの一つに、彼らの名前があります。
例えば、正式な名前が次のような人がいたとします。
Roberto Calros Rosa de Silva(男性)
Roberto は、この人のファーストネームです。そして、通常は、Calrosは父親のファーストネーム、Rosaは母親のファーストネームで、 Silvaは姓です。日本式にいうと、Silva Roberto となります。標準的な正式名には、これだけの情報が含まれています。
ちょっとバリエーションを加えると、同じSilva家でも、由緒あるSilva家は、de(英語のofに当たる)がda(定冠詞付き)に変わり、Roberto Calros Rosa da Silvaとなります。
標準はこうですが、必ずしもこれに当てはまるとは限りません。父方、母方の有力な先祖の名前をぞろぞろ並べた、ブラジル版寿限無みたいな話があるそうです。
また、父親のフルネームのあとに、Juniorを付けたり、祖父のフルネームにNetto(孫)をつけたりするケースもあります。Juniorは英語でも見かけますが、さすがにMr.Juniorとは呼びません。ラテン系の場合は、何て呼ぶか、表記するかは本人に確認しないと分かりません。
Maria Mario Creuza de Gama(女性)さんが、Roberto Calros Rosa de Silvaさんと結婚したとします。結婚後の
Mariaさんの正式な名前は、 Mario かCreuzaのどちらかを残し、例えば、 Maria Creuza Gama de Silvaとします。結婚後の女性の正式名に、結婚前の名前の主要な部分が組み込まれて残されます。
結婚前に、Maria だけでは沢山いて不便なので、Maria Mario または、Maria Creuza と呼ばれていたと仮定すると、通称で呼ばれていた方の名前を残すのでしょう。
これは、ラテン系移民の場合で、それ以外の国から沢山の外国の名前が入ってきますから、実に多種多様です。
日本人の場合は、一世は我々と同じですが、二世になると、例えば、Taro Jose Yamadaなどのように日本人名と、現地名前と両方つけているケースが多いようです。Hanako Cecilia Satoさんが、Taro Jose Yamadaさんと結婚すると、Hanako Cecilia Sato Yamadaとするようです。
この基本形を覚えておくと、ラテン系の人の名前の見方が広がります。
ルーラ現ブラジル大統領のフルネームは、Luiz Inácio Lula da Silvaです。しかし、彼の生まれた時の名は、Luiz Inácio da Silvaでした。
サンパウロ州知事に立候補する前に、Luiz Inácio Lula da Silvaと改名しました。新しく加えた Lulaは、Luizの愛称で、子供の頃は、Lulaと呼ばれていたそうです。
例えば、PauloにはPaulinho、JoseにはJosinhoなどの愛称があります。パウロちゃん、ジョゼちゃん、といった感じでよく使われます。Lulaは、ルイちゃんといった感じでしょうか。女性形なのが面白いところです。
ルーラ大統領は、政治家としてLulaを加えたことで、形も整い、人々からLulaと呼ばれて愛され、親しまれ、政治家として有利な選挙を戦ったのだと思います。労働運動出身の左派政治家ですが、決してバラマキ山盛りのマニフェストで当選したわけではありません(笑)。
私が滞在していた頃は、ホテルの宿泊カードに、必ず、両親のファーストネーム書く欄がありました。今でも、それが続いているのでしょうか。その時点では、父親は既に他界していたので、複雑な思いで書いたことを思い出します。
夫婦別姓を民主党が強行しそうな勢いで心配してます。施政方針演説もしないで、予算を組んでしまうという独裁型政権であるだけにやりかねません。
名前は、その社会の伝統を背負っているものです。中国や韓国朝鮮に合わせる必要はないと思います。広く国民的な議論をするべきです。