北朝鮮のミサイル発射に関して、国連安保理が議長声明の形で強い非難声明を出しました。
それに対して、北朝鮮は、六カ国協議からの離脱、核開発の継続を表明し、反発を強めています。
これに関しては、幸い安保理(非常任)理事国である日本は、米と共に前回より強い「安保理決議」を主張し、北朝鮮の現状維持をねらう中露は、最も軽い「報道向け声明」を主張していたようです。
結局、間をとって議長声明となりましたが、その声明に日本の主張は全面的に取り入れられ、前回安保理決議の履行をより完全に求める形の議長声明となりました。
これに対して、朝日新聞は、
「安保理交渉、はしご外された日本 議長声明で米中が同調」という記事で、日本外交がいかにもドジだったかのような記事を掲載していますが、未熟な見方だと思います。
別の新聞には、初めから考えていた落とし所に落とせた、と言う見方もありましたが、これの方が真実であったと思います。また、北朝鮮に十分なリップサービスをした上での中国の落とし所だったとも考えられます。
実を取った日本外交、よく頑張ったと思います。
むしろ、強い議長声明に誘導されてしまった中露こそ、北朝鮮の強い反発を見て、困っているのではないかと思います。
特に、中国は、日本向けのノドンのターゲットを中国に代えれば、北京はおろか主要都市が射程圏内に入ります。北朝鮮の未開拓な資源を狙って、政権の衰弱を待って、丸呑みにしようとしている魂胆だと思いますが、そのシナリオが崩れ、北朝鮮が暴発に追い込まれれば、思わぬ被害に遭いかねません。
日本が警戒しなければならないのは、その軍事的暴発ですから、その意味では、日、中、韓とも同じリスクに晒されていると思います。
これで、北朝鮮は完全に孤立しました。
それを軍事でカバーすることは出来ません。軍事的な冒険を繰り返しながら、援助を引き出していくという従来のやり方は限界に来つつあるように思います。今回のミサイル発射は、政権の消耗を早める冒険であったように思われます。
ただし、日本としては、北朝鮮の仮想敵国ではなく、現実の敵国として、暴発に備えることが肝要です。
それにしても、日本が安保理理事国の時のことで良かったですね。
早く、常任理事国になる必要があります。