北朝鮮を経済制裁しろ、という声が大きくなっています
横田めぐみさんの遺骨と称して、別人の骨を提供するなど北朝鮮の不誠実な態度に、国民のフラストレーションが高まっています。
国会では、衆参両院の「北朝鮮による拉致問題等特別委員会」が、政府に、経済制裁の検討を求める決議をしました。
政府が約束した人道支援の残り半分を凍結した上で、経済制裁をし、北朝鮮の拉致問題への取り組み姿勢を正させたい、ということが国会や世論の求めることであろうかと思われます。
政府が決断すれば、何時でも経済制裁が実行に移される状況にあります。
ところで、本当に北朝鮮に対して、経済制裁をして良いのでしょうか。
それにはどういう効果があり、どういう展開が期待できるのでしょうか。
どういう状況になったら、経済制裁を解除するのでしょうか。
6カ国協議には、どの様な影響を与えるのでしょうか。
他の5カ国は、北朝鮮問題をどう考えているのでしょうか。
そもそも経済制裁は、拉致問題解決にプラスに働くのでしょうか。
政府が、経済制裁というアクションを起こすには、これらに対する検証が不可欠です。
日本人の多くが感じていることだと思いますが、金正日政権は、まともに相手にする政権ではないと思います。
日本政府が信頼して、国交を回復する相手としては、強い疑問があります。
さはさりながら、東アジアに厳然と存在する政権ですから、無視することもできません。
恐らく経済制裁を発動すると、国交断絶に近い関係になってしまうのではないかと思います。
日朝関係の動きが止まり、6カ国で解決しようとしている核問題の枠組みが、機能しにくくなる恐れがあります。
拉致問題も凍結に近い状態になるでしょう。
場合によっては、北朝鮮側は、一人二人の拉致被害者の情報を小出しにすることで、我が国から人道援助を引き出そうとするかもしれません。それには、これまでのような甘い対応は、日本の世論が許さないでしょう。
経済制裁の結果は、日朝の疎遠化と、北朝鮮の更なる困窮をもたらすでしょう。
人道支援の凍結には、北朝鮮はクレームを付けられません。しかし、経済制裁には、断固として反発できます。
北朝鮮側は、それを核問題サボタージュのカードに使ったり、証拠隠滅のため、拉致被害者の殺害などを進める懸念があります。
日本は、国交回復の相手は、
ポスト金正日政権としっかりと決めて、現政権に対処する必要があります。
もともと拉致問題は簡単に解決する問題ではないのですから、そう考えることによって、様々な選択肢を検討する余裕が出来てきます。
昨年の2月時点では、金政権は余命幾ばくもないと思っていました。しかし、日本を初めとする諸外国の人道援助で何とか延命しています。
経済制裁は、するすると刀を振り上げている間が、最も効果のあるカードです。
制裁という名を使わなくても、個別に締め上げていく方法はかなりあると思います。
人道援助をペンディングにして、もう一冬、金正日に与えてはどうでしょうか。当てにしていた人道援助が実現しないだけでも、彼らには大きなダメージです。
こちらが、軽々しく動かない方が良いと思います。
政府が、冷静に考えた上で、歯切れが悪いのであれば(そう思いたい)、立派だと思います。
自民党を代表して安倍晋三さんが、経済制裁を強く訴えているのは、良いことだと思います。
そして小泉総理が、それに簡単に同調しないのも良いことだと思います。